NanoSampler:ほこりを集める機械 - タイのほこりの問題対策の希望

     PM2.5の微小な粒子の問題がタイに大きな空気汚染をもたらしており、特に乾季の間は、バンコクや周辺地域、そしてタイ北部のいくつかの県で基準を超える微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が確認されています。この状況は、国民の生活と健康に影響を及ぼしています。

     国内全体での微小粒子状物質の問題に対処し、解決するためには、全ての部分が連携して行動することが不可欠です。そのため、タイでは、微小粒子状物質の問題を研究するためのプロジェクト「バンコクにおける微小粒子状物質の拡散と化学成分の分析に関する研究」が、国家研究評議会(NRCT:National Research Council of Thailand)の支援を受けて実施されています。このプロジェクトには、チュラーロンコーン大学工学部環境工学科と天然資源環境省における公害管理局(Pollution Control Department, Ministry of Natural Resources and Environment)も協力しており、地域ごとの微小粒子状物質の分布や化学成分を分析し、地域管理と汚染削減の取り組みが強化され、将来的に微小粒子状物質の発生源を減少させる方向に向けて進展することが期待されています。

   「NanoSampler」(Furuuchi et al.,Aerosol and Air Quality Research,10:185-192, 2010年)は、バンコクの3つのモニタリングステーションに空気内の微小粒子のサンプルを収集するために使用されています。それらの場所は、アーリーの公共情報広報省のモニタリングステーション、ディンデーンコミュニティのモニタリングステーション、バンナーの気象庁モニタリングステーションです。

     この機器は、1台の装置で6つの異なるサイズの微小粒子を収集できることが特徴です。収集できるサイズは、PM0.1、PM0.1-0.5、PM0.5-1、PM1-2.5、PM2.5-10、そしてPM>10です。現在の多くの機器はそれぞれ別々にPM2.5又はPM10の微小粒子を収集できます。

     この機器は、上部に取り付けられた装置によって、周囲の空気を1分間に40リットルの速度で吸引し、24時間サンプルを収集できるように設計されています。1月から3月そして年末はほこりの問題が多い時期で、中国からの冷たい空気の影響で高気圧が発生し、空気が循環せずにほこりが大量に発生します。

     ナノテック開発チームは、2021年1月から12月までの期間に、各モニタリングステーションで合計40回のサンプリングを行いました。その後、収集したサンプルを用いて粒子の成分を解析し、化学的な分類に基づいて粒子の発生源を評価するために、さまざまなデータソースや統計的手法を利用しました。

     これら2.5ミクロン以下(PM2.5)のサイズの粒子の発生源は (PM2.5) PM0.1、PM0.5-2.5 および PM2.5-10 になります。バンコク内では48%の2.5ミクロン以下(PM2.5)の粒子は車の排気ガスから発生しています。続いて、ゴミや農業で物を燃やす事、工場からのほこり、道路のほこりです。

      サイズ別の粒子で発生源を分析すると、小さな細かい粒子(PM0.1)は車の排気ガスから 65% 発生、小さな粒子 (PM0.5-2.5) は車の排気ガスから41%発生、 大きなほこり(PM2.5-10) は建設や工事現場から 50%発生し、小さな粒子は人間が関係する活動で発生しています。

     この分析結果は、行政機関が政策提案に活用するための深層の情報です。また公衆衛生機関によって健康に関連する学習的データとして進展させることができます。

出典 :  National Science and Technology Development Agency (NSTDA)
Thailand Science Park 111 Amphur, Khlong Nueng, Khlong Luang District, Pathum Thani 12120, Thailand
電話番号 :  +66 2564 7000

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